「目肌焼け」という言葉を知っていますか?
名前から目から受ける紫外線の影響ということは想像つくでしょう。
目は紫外線のダメージを受けると、視力低下や白内障などの眼病を引き起こす原因になります。
ここまでは、容易に想像がつきますが、目が紫外線を直接浴びると、肌の日焼けの原因になることが分かってきました。
夏の紫外線対策では、UVカットのファンデーションや日焼け止めなどを使うところまでは実践できていても、目は油断している方が多いのではないでしょうか?
目が紫外線の影響を受けるとメラニンが生成され、肌全体の日焼けの原因、およびシミのできるリスクを拡大させます。
目の紫外線対策をする観点からサングラスの需要が高まっています。
目肌焼けは目から入る紫外線による肌への影響と対策などの啓発活動を行う「SHADE SKIN PROJECT(シェイドスキン プロジェクト)」によって名付けられました。
「目から受けた紫外線の影響でメラニンが増える」という事実は、2012年頃にマウスに目だけに紫外線をあてたところ、肌が日焼けしたという実験結果が出たことで世間に広まります。
専門家からは大きく注目されてネットでも目の紫外線対策を呼びかける記事が出始める一方で、世間の認知度は低いままでした。
そこで、2017年2月に医学博士の井上正康氏を主導に4名の専門家がタッグを組んで同プロジェクトを立ち上げて、目の紫外線対策を呼びかける運動を始めました。
多くの人に危険性を認知してもらうことを目的に、「目肌焼け」という呼びやすい名称を付けた経緯があります。
シミは主にメラニンが原因となって発生します。
これだけ聞くとメラニンは有害な成分のように感じますが、肌や細胞を日焼けから守る重要な役割を担っています。
人の肌は紫外線を浴びると、肌を守ろうとしてメラニン色素が生成されます。
日焼けして肌の色が変わる原因はメラニン色素の影響を受けているからです。
たとえば日焼けをしていない真っ白な肌で海に行って日焼けをすると綺麗な小麦色にはならず、赤く腫れ上がって皮が剥ける現象が起こります。
これは肌細胞が破壊されている証拠です。
すでに綺麗な小麦色に日焼けをしている人は、肌の白い人と同じ時間だけ紫外線を浴びても、腫れて赤くなったり汚く皮の剥けるリスクが少なくなります。
色の問題だけで見ると日焼けして黒くなった肌の方が熱を吸収するのですが、日焼けしていない人よりも赤みや痛みが出るリスクの少ないのは、すでにメラニンが生成されて肌をバリアしているからです。
メラニンはターンオーバーで時間とともに肌の外に抜けていきます。
ターンオーバーのサイクルは28日が目安で最後に日焼けした日から1ヶ月も経過すると通常の日焼けなら元の色に戻ります。
メラニンが発生してもターンオーバーで身体の外側に排出されれば問題ないですが、身体の中にメラニンが留まってしまうと行き場を失ったメラニンは肌の中で停滞してシミとなり簡単に抜けなくなってしまいます。
ターンオーバー(メラニンの排出)は加齢とともに能力が衰えてくるため、歳を取るほどシミができやすくなります。
身長の成長が止まる10代半ばくらいから、ターンオーバーのできる量は減少していき、成人になるとガンガン日焼けしてターンオーバーだけで対処するのは限界が出てくるので、シミを予防するには紫外線対策をしてメラニンの発生を抑えることが重要だとされています。
マウスの実験によると、メラニンは脳からの信号で発生し、身体全体のメラニンが増えることがわかりました。
肌の場合はダメージを受けた場所を重点的にメラニンを発生させますが、目の場合は身体全体に信号を送ります。
肌の露出しない部分は直接紫外線を受けていないため、目の影響で出たメラニン程度なら簡単にターンオーバーで排出できます。
顔や腕、胸元など紫外線の影響で日焼けしやすい場所は、目から紫外線を受けていると、一層日焼けをしやすくなります。
また、目から紫外線ダメージを受けた脳はメラニンを生成させるように反応しているので、プラスアルファのちょっとした紫外線ダメージでも過量のメラニンを作ってしまうリスクもあります。
つまり、目の紫外線は身体全体に日焼けをさせるリスクがあり、日焼けしやすくてシミのできやすい身体の状態に誘導していきます。